割合と絶対人数(法科大学院制度)

「七割合格と聞いたから法科大学院の道を決めたのに、国に裏切られた思い」

という意見があるという…

法科大学院、初年度の新司法試験の合格者が800人、旧司法試験合格者が800人、

二年目が新1600人、旧400人、というのを法務省が決定した時にでた話である。

これだと初年度で30%強、二年目で20%ぐらいの合格率になるのだとか。

国に裏切られたというが、一番の原因は国ではなく法科大学院を設置している

大学院の行動ではないだろうか…

割合と人数は違うのである、当初の大学院生定数であれば、かなりの割合になって

いたかもしれないが、大学院側が学生を予定より大幅に水増しして合格させている

実態があるのだから今の結果は仕方ないと思われる。

「大学院に合格させた学生が増えたから司法試験の合格者も増やすべきだ」

「司法試験に合格できる可能性が高いから仕事をやめて法科大学院に来たのに」

はおかしい話である。もともと法科大学院はより質の高い法曹を育てるため。

合格者をただ増やすだけでは質の向上は望めないと思われる。なので国の主張は

最もであると考えられ、もし恨むのであれば恨む先は、あとさき考えず無責任に

合格者を増やした大学院であろう。ただ、なんやかんや言ってもコンスタントに

1600〜2000人は合格するのである、制度がどうなろうと受かる人は

ちゃんと受かるのですよね。

ただ、仕事をやめてまで頑張るのはほんとにリスクのあること、旧制度であれば

修習生になってから、つまり合格が決定してから仕事をやめればよく、仕事を

しながら受験することも可能であったが、新制度では試験に合格する前に

学校に行かなくてはならず、リスクのあるまま仕事を辞めなくてはならない。

そうでなくても法科大学院を卒業する頃には、他の就職先に就職するのは

結構しんどい年ごろになっていることが少なくない。そういう意味では、

リスクの負える大学生時代から受験できるとか、仕事を辞めないでも受験

できる旧制度の方が、より門戸の開かれた試験と言え、受験者も多数が受けられ

より質の高い法曹が生まれてくる確率が高い気がしたり。

個人的には、旧制度のまま合格者をある程度まで増やし、司法試験に合格してから、

司法修習生としての教育の段階で、よりきちんと徹底すればよい気がしします。